CD「上町の鳴物」
● 地車と共に走った二日間。膨大な録音の中から最高の鳴物を選び抜く。
● 写真・図表を用いた五十四頁にわたる詳細解説書付。
● バチさばきと指使い、地車のコマ音、ケヤキの匂いまでもを捉えた、他の追随を許さない最高の音質と空間性。
● 祭礼当日の音風景を忠実に再現。今まで気付かなかった、鳴物の真の魅力をここに収録。

企画・制作
民の謡
3月1日発売開始しました!
特別付録写真集 「上町の彫物」(総天然色40頁)
写真
六覺千手

CD/詳細解説書・写真集付 3,800円(税込み)

販売所(有)森田
店頭販売
(有)森田にて販売中
大阪府泉北郡忠岡町忠岡東1丁目31−10
0120(32)1474
通信販売
コチラの注文フォームよりお申し込みください。

試聴
【5】きざみ〜半きざみ 地車小屋前
【6】曳き出し 上町村中
【10】曳き出し カンカン場
【28】〜【29】宮入り コナカラ坂
【31】宮入り式・祝詞 岸城神社本殿
【42】〜【44】灯入れ曳行 露店風景・欄干橋
※トラックナンバーをクリックしてください。収録音源の一部が視聴できます。

岸和田だんじり祭は荒っぽいという印象を受けがちであるが、その本質は「優美」である。
講談の題材をふんだんに用いた「彫物」もその一つで、私を惹き付けて止まない。
そして、その「彫物」は、今後何百年も残るはずであろう。心配なのは、「鳴物」である。
しかし、このCDによってそれは杞憂に終った。民の謡代表・森田玲はいい仕事をしてくれた。
民の謡の活動を受け、全国各地の祭囃子が保存され、さらに大きく継承されるきっかけになればと、私は願っている。 
講談師 旭堂小南陵
■詳細解説書■
(全カラー54頁)
すべての曲番に対して、
録音日時・録音地点・地車町名・地車進行方向等の情報を記載し、
写真・解説文を付け曳行状況を明記。


■特別付録写真集『上町の彫物』■
(全カラー40頁)
上町の地車に施されている彫物の魅力を
最大に引き出した写真集。

詳細
○小屋前練習風景(地車小屋前) 【1】〜【5】
  七五三[宮入り囃子]
  五三五三五五[練りあし]
  並あし
  半きざみ
  きざみ
  
○宵宮(祭礼一日目)
  曳き出し(村中・塔原線・カンカン場)
【6】〜【10】
  駅前パレード(岸和田駅前)
【11】〜【15】
  午後曳行(S字・紀州街道)
【16】〜【18】
  灯入れ曳行(欄干橋)
【19】〜【21】
  
○本宮(二日目)
  宮入り(潮かけ)
【22】〜【27】
  宮入り(コナカラ坂)
【28】〜【29】
  七五三(岸和田城周)
【30】
  宮入り式・祝詞(岸城神社本殿)
【31】〜【33】
  宮下り(城見橋) 【34】
午後曳行(カンカン場・貝源・村中)
【35】〜【41】
  灯入れ曳行(駅前通り商店街・村中)
【42】〜【53】
  オッシャカシャン(地車小屋前)
【54】

収録時間 77分56秒
  製 作 昭和四年
大 工 植山宗一郎
主彫刻師 開正藤 開生a

土呂幕
  正面 川中島合戦 信玄・謙信一騎打
  右面 本多出雲守・荒川熊蔵の一騎打
  左面 加藤清正・新納武蔵守の一騎打
見送り
  下段 大坂城夏之陣
  上段 本能寺

  表紙 六覺千手氏による描き下ろし
表紙絵・拡大図は
コチラ
 
あとがき

きっかけは、平成十六年度上町若頭責任者の方から、『上町地車誌』に掲載する「上町地車清祓式」の写真を探しているとの連絡を頂いたことであった。夜中の神事という事情もあり、中々写真が見つからないとのこと。私は、「岸和田だんじり祭三百年記念祭(平成十四年)」以降、岸城神社氏子各町清祓式において、玉串奉奠の笛を務めさせて頂いており、幸い、六覺千手氏による記録用の写真が手元にあった。

 「民の謡」では、「岸和田囃子」の調査・研究を行なっており、ご縁のあった町の方には、必ず「鳴物」について尋ねている。この時、「上町」には「七五三」と呼ばれる特殊な音曲が伝わっているということを初めてお聞きした。有名な「沼の七五三」とは異なり、その存在があまり知られておらず、さらに、笛の旋律が特徴的であるらしい。私は居ても立ってもおられず、すぐに青年団の鳴物係と会う段取りを組んで頂いた。ただし、実際に聴いてみるまでは何とも言えない。本人達が特殊であると思っていても、実は他町でも行なわれていたり、一般旋律に毛の生えた程度のもの、また、特殊であっても渋くない旋律の可能性もある。数日後「町会館」の一室。太鼓の代わりに机で拍子をとる青年団。冒頭の一節目は一般旋律と同じであり、一瞬期待をためらった。ところが、二節目からどんどん笛の旋律が変化し情緒的な雰囲気が溢れてきたのである。聴けども聴けども終わらない長い音曲であった。この時の感動が原動力となり、今、CD『上町の鳴物』を完成させるに至る。

これまでのCD解説書等でも述べてきたように、本盤に収められている祭礼当日の音風景は、「大長編芸術的民俗音楽」である。地車から囃される笛・太鼓・鉦の音、小中学生・青年団・後梃子の掛け声、大工方の団扇、コマと地面との接触音、さらに、その一部始終を見つめる見物人の歓声。これらすべては地車の動きに支配され、有機的な繋がりをもって発せられる。何百何千の人々の想いが同じ方向を向き、そこから生み出される音の数々が一つの「音楽」を形成している。この音楽に包まれ、曳き手、見物人共、非日常のハレの舞台に酔いしれる。各地の祭礼は形態は違えどもその魂の向かう方向は同じであろう。

 祭礼当日、我々は目立たぬように、「上町」の文字が入った町公認の黒Tシャツ、黒のズボンと靴を装着し、マイクには移動による振動を緩和するための工夫が録音技師の中田氏によって施されていた。早朝の「曳き出し」は、村中では地車の後方に付き、塔原線で曳き出しを見送り、固定で遠音を録音する予定であった。ところが、思わず体が動き、突き動かされるように地車を追ってしまったのである。「練りあし」程度は付いていくつもりであったが、高速曳行の密着録音も強行。私は録音に全神経を集中させる中田氏の安全を確保しながら、絶好の録音位置を狙って誘導を行なった。前作CD『岸和田八木だんじり祭 鳴物十三ヶ町』録音時は、基本的にはマイクは固定であったが、「灯入れ曳行」時には、地車の前方綱元付近に付いて移動しながらの録音を試みた。この経験が活かされた瞬間である。最高気温34℃、熱中症患者が続出し救急車のサイレンが鳴り響く過酷な天候の中、二日間走りっぱなし。前代未聞の録音となった。祭礼関係者、見物人に揉まれる中、自らも祭礼に参加している感覚に陥り、祭礼関係者の目線での録音となっていったのである。その結果、「小屋前練習風景」、村中での「梃子捌き」、「やりまわし前の緊張感」や豪快な「やりまわし」、優美な「七五三」や子供達が鳴物を囃す「灯入れ曳行」、地車納庫後の「オッシャカシャン」等、あらゆる場面を収録することができた。上町の歴史と地車について詳述している『上町地車誌(上町地車誌制作委員会)平成十六年』を、「鳴物」という観点から補完できたのではないだろうか。

また、地車曳行は神社の例大祭における「神賑行事」であるとの観点から、「湯立神事」「例祭式」「宮入り式」について詳述し、「宮入り式」の音風景を祝詞と共に収録できたことは、今後の「岸和田祭」の発展の方向を考える材料の一つを提供できたのではないかと自負している。さらに、豪快な曳き廻しに耐え得る「地車」が、単なる粗雑な「箱」ではなく、豪華絢爛の彫物が各部に詰まっていることを紹介した『上町の彫り物(古磨屋)』を付録した。

中田氏は、過酷な状況で録音を行ない、納得のマスターディスクを製作。六覺千手氏は、「曳行者の目線」であらゆる場面を写真に収め、本作品を象徴する最高の絵を表紙に仕上げた。私を含めわずか数人による現場録音であったが、上町の各種団体の方々の協力を得て、平成十六年祭礼当日の音風景を忠実に記録することができた。関係者各位に改めて御礼申し上げたい。本盤および解説書が「岸和田の鳴物」「日本の鳴物」の継承・発展に貢献することができれば、製作者として何よりの幸いである。

 次は、岸和田旧市全町を収めたCD『平成鳴物見聞録』の製作に取り掛かる。脈々と受け継がれ、各々の町で奏される鳴物によって引き起こされる感動が、私の原動力である。

平成十八年一月吉日 民の謡代表 森田 玲


【企画・製作】民の謡(たみのうた) 
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著作権法上、無断での複写・複製は禁じられております。平成十八年三月一日 発行 TU‐010  三八〇〇円(税込)

CD『上町の鳴物』
【鳴物】

上町青年団

【製作総指揮・録音補佐・解説書編著・選曲】
森田玲(民の謡代表・篠笛奏者)
http://www.taminouta.com/

【録音・編集・マスタリング】
中田宏(Sound Lab Nakata)
http://www.sln-archives.com/

【録音補佐】
村川剛章(Sweet Sonic Systems)

【編集システム原案】
UTSUNOMIA

【意匠・写真】
六覺千手
http://www.k-rokkaku.com/

【題字】

山名正志

【協力】
上町町会 岸城神社 古磨屋


写真集『上町の彫物』
<CD『上町の鳴物』特別付録>

【製作・編集】
古磨屋

【写真】
六覺千手
http://www.k-rokkaku.com/
     
【題字】
山名正志

【協力】
民の謡
http://www.taminouta.com/